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2014年1月 6日 (月)

天皇の年頭所感は格差・平和問題?

天皇は宮内庁を通じ、ご感想(新年に当たり)を公表された。

極めて政治的な存在でありながら、ナマの政治とは一線を画することを求められる天皇の年頭所感は、簡潔な文章の中に、世相を反映した様々な思いが込められている。これを紹介した主要各紙の見出しは、「荷を分かち持つ年に」(読売)「被災者を深く案じる」(朝日)、「被災者『深く案じられる』」(毎日新聞)「被災者、改めて深く案じられる」(日経)というものだった。

4紙のうち3紙までが、東日本大震災被災者への思いを見出しに掲げている。だが、平成24年、25年と、年頭所感は東日本大震災の被災者を見舞う文章からはじまっている。今年も、同様の文章からはじまっており、その意味で新味はない。ただ、山本太郎議員の「直訴」事件を受け、原発事故の被災者に対するお気持ちをどう述べるかについては、おそらく、宮内庁内で議論があっただろう。今年の該当部分は「放射能汚染によりかつて住んでいた地域に戻れずにいる人々」というものであり、昨年の「放射能汚染によりかつて住んでいた地域に戻れない人々」と、ほぼ同文であるが、ほぼ同文であること自体が、山本太郎議員問題に対する皇室(宮内庁)の答えと見るべきだろう。

一方、3年連続でかわらない冒頭部分に対し、特徴的なのは、第一に、「国民皆が苦しい人々の荷を少しでも分かち持つ気持ちを失わず,助け合い,励まし合っていく」ことを求める部分である。なぜ特徴的かというと、平成2年以降25回にわたる所感中、「荷を分かち持つ」に類する表現が使われたのは初めてだからだ。この「苦しい人びと」は、文脈上、震災被災者に限定されず、様々な原因で労苦を背負った人びとを指す。所感は「苦しい人々の荷を少しでも分かち持つ気持ちを失わず」と述べるが、もちろん、その気持ちが失われはじめているとの危機感が背後にある。格差社会の問題点は格差そのものではなく、敗者を見捨てて顧みないことにあるというのは、一つの見識であろう。いずれにせよ、主要各紙の見出しの中では読売に軍配が上がることになる。

第二は、「平和」への言及である。具体的には、「国民皆が…世界の人々とも相携え,平和を求め,良き未来を築くために力を尽くしていくよう願っています。」との下りだ。過去25回の「年頭所感」中、平和という言葉を使用した回は12回と多いが、今回の言及は平成22年以来4年ぶりであり、しかも、国民に対して平和への取組を求めているのは、平成12年、13年、22年、26年の4回しかない。

ちなみに、平成21年は北朝鮮による核実験と「弾道ミサイル」発射実験があり、東アジアが緊張に包まれた年であった。その翌年の念頭に、北朝鮮にではなく日本国民に対して、平和希求の努力を求めた年頭所感には、それなりの意味が込められている。

今年の年頭所感における平和への言及箇所は、平成22年のそれとほぼ同文だ。すなわち、天皇が国民に対し、平和を求めるよう願ったことには、それなりの意味が込められていると思う。

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