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2014年1月20日 (月)

顔認証技術の現在について(4)

「顔認証技術が実用化されたら、生活がどのように変わりますか?」という質問を、新聞記者氏から受ける。私は、「たとえば決済が顔認証情報でできるようになります。そうなれば、現金もクレジットカードも持ち歩く必要はありませんし、盗まれる心配もありません」と答えることにしている。ただ、現在の顔認証技術は、長足の進歩を遂げたとはいえ確実性に乏しく、到底、決済手段にすることはできない。

と思っていたら、顔認証技術の未成熟さをいわば逆手にとった、ユニークな決済手段が開発され、実用化されていた。ソフトバンクと米paypal社の合弁企業PayPal Japan が開始した、Paypal Hereというサービスである。

このサービスでは、ユーザーはあらかじめ、自分の顔写真のデータをPayPal社に登録しておく。ユーザーが特定の店舗にチェックインすると、PayPal社はその顔写真データを店舗に送信し、店舗側はその写真と客の顔とを見比べて本人確認を行う。これにより、PayPal社は店舗に対して、その客の支払うべき代金を立替払いすることを約束したことになる。そのため、客は現金を払う必要も、カードを持ち歩く必要もなく、文字通り顔パスで決済できることになる。

このサービスのユニークなところは、技術的に未成熟な顔認証技術にこだわらず、認証作業は人間にやってもらうと割り切ったところだ。

もっとも、他人種を見分けることは不得意な日本人も多いし、女性の場合、まるで別人のようなメイクで登場することもあろう。そこで、将来的には、顔認証技術に人間の補助をさせることになるだろう。たとえ別人にしか見えないメイクをしても、眼球の位置は変えられないから、人間は騙せても、機械は騙せないのだ。

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