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2014年3月 3日 (月)

絶望のたりない『絶望の裁判所』

瀬木比呂志『絶望の裁判所』を読んだ。

構成は大きく二つに分かれている。前半は裁判所という組織や、組織に属する裁判官批判だ。そして後半では、裁判所を再生し市民のものにするには、法曹一元制度が不可欠と主張している。

隠然たる支配を行う最高裁事務総局と、その気配をうかがう「ヒラメ裁判官」。多くの裁判官にとって事件は処理の対象でしかなく、官僚統制と厳格な組織ヒエラルヒーの中で、幼児化した自我を肥大させる裁判官や、精神を病み自滅していく裁判官。これらの描写は、筆者がナマで経験したためか、とてもリアルだし、ほぼ特定が可能な裁判官も多く、話題呼んでいるようだ。

だが、我々弁護士から見れば、裁判所が官僚統制の牙城と化していることは周知の事実だし、弁護士を何年か経験すれば、トンデモ裁判官の5人や10人は見ているので、これらのエピソードは、特段珍しいものではない。

多少の新味があったのは、2000(平成12)の司法制度改革以降、裁判所の官僚支配が強化された、という指摘だった。このとき日弁連は「法曹一元」を錦の御旗に掲げ、官僚司法打破を目指し大騒ぎしていたことは、『こん日』に記したとおりだ。瀬木氏の指摘が正しいとすると、官僚司法打破のための司法制度改革は、官僚司法をより強化する結果に終わったことになる。司法官僚のしたたかさも相当なものだが、一方、勝ち目のない攻城戦を挑み、かえって守りを強化させてしまった、日弁連の罪は重い。

他方、本書で最も物足りないのは、法曹一元を導入すべきだと主張する、瀬木氏の主張の薄さだ。いまの裁判制度や裁判所、裁判官は酷いことばかりだから法曹一元にすべきだ、という主張は、戦争は悲惨だから平和がいいよね、という主張と同じである。説得力がありすぎて、反論する気力もない。

上述したとおり、2000年の司法制度改革も法曹一元導入を(途中までは)第一目標に掲げていたし、1960年代の臨司意見書も、法曹一元の導入を望ましいと認めた。戦後すぐである1945年(昭和20年)には、若きエリート裁判官である内藤頼博らが、人格識見に優れた弁護士を相次いで裁判所の要職に抜擢し、人事運用によって法曹一元を実現させようとした。だが、これらの試みはいずれも失敗した。法曹一元が望ましいといったところで、この歴史を踏まえなければ、何の意味もないし、法曹一元を唱えさえすればいつか実現するというなら、『絶望』との書名が泣くだろう。

瀬木氏の主張に最も欠けているのは、なぜ、わが国では法曹一元導入の試みが、ことごとく失敗したかという問いに対する研究である。学者裁判官を自負される以上は、この研究を尽くした上で、法曹一元を論じられたい。

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コメント

この内部告発的書物は、何を目的に書かれたものだか理解できない。今まさに、裁判の当事者にいる国民とやらに、なんの配慮もない。我々、国民は、薄々、裁判が公正に行なわれていない事ぐらいは、知っている。だが、紛争の最後の砦である裁判所にジャッジを求め訴訟提起している人達に答えを出すことはできない。
ことの解決に当るわけでもなく、離れた場所から、以前の職場の組織批判など、法律を知らない、わたしにもできる。なんの問題解決もしていな元裁判官が、国民を不安に晒し何がおもしろいのだ。

投稿: はるな | 2014年3月 8日 (土) 12時10分

時間の無駄
内部の人間の本として期待して読んだ。しかし、
自らを「学者」と任じている割には、客観性に乏しい。
自らの不遇を怨嗟しているだけに感じた。
司法に問題あるのは分かるし、それはおそらく正しいと思うが、感情が高ぶりすぎて、読むに耐えない。
気になったのは、在職中に「学者になりたい」としていて、本当に裁判の仕事に身が入っていたのか?それこそ、当事者に対する裏切りではないのか。
司法に問題があるのは分かる。客観的な指摘が必要と思う。

投稿: | 2014年5月14日 (水) 19時45分

瀬木比呂志先生について、インターネットで見ました。

脱税の冤罪について考えています。

以下についてご検討下さい。

会長日誌 有限会社柳澤会計事務所 
http://blog.livedoor.jp/yanagisawakaicho/archives/52031351.html

投稿: 柳澤 孝行 | 2016年11月29日 (火) 18時20分

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