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2014年4月16日 (水)

司法試験合格者数に関する自民党と公明党の提言について

平成2649日、自民党政務調査会司法制度調査会・法曹養成制度小委員会合同会議と公明法曹養成に関するプロジェクトチームは軌を一にして、司法試験合格者数等に関する提言を公表した。どちらも、司法試験合格者数を年1500人程度に減少させることを提案している。

自民党は、司法試験合格者数急増がもたらしたさまざまな問題、特に司法界への人材離れに対する危機感を背景に、異論を併記しつつも、「平成28年までに1500人程度を目指す」としている。

一方公明党は、①法科大学院の統廃合と連携、②予備試験受験資格制限、③法曹養成課程の経済的支援の充実等と並列して、④司法試験合格者数を「まずは1800人程度とし、その後…1500人程度を想定する必要もあるのではないか」と述べている。

一本調子の自民党提言に比べ、やや腰の引けた感のある公明党提言だが、それでも、よくぞここまで踏み込んだ、という評価もありえよう。

だが、公明党が1500人に言及したのには、背景と条件がある。

まず背景としては、創価大学法科大学院出身合格者の躍進がある。平成22年から25年までの4年間、同院出身合格者数、対出願者合格率とその順位、同順位までの累積合格者数は次のとおりだ。

22年度 18人 14.88% 26位 1633
23
年度 12人 8.96% 38位 1879
24
年度 12人 9.60% 41位 1881
25
年度 22人 19.30% 17位 1440

つまり、平成25年度の合格者数を前提にする限り、司法試験合格者数を1500人にしても、創価大学法科大学院は生き残るし、それなりの合格者を出せるのだ。

もちろん、今年度以降の合格者が再び低迷する可能性も否定できない。だが、低迷しても合格者数1800人程度の範囲なら何とかなりそうである。これが、公明党提言が「まずは1800人程度とし、その後…1500人程度を想定する」と述べた背景である。

次に条件は予備試験受験資格の制限だ。すなわち、平成24年度、25年度で最も合格率が高かったのは予備試験組であり、その数は平成24年で58人、平成25年で120人いる。いいかえれば、予備試験がなければ、平成25年度の創価大学法科大学院の順位までの累積合格者数は1320人だったことになる。これなら合格者数を1500人に減らしても余裕だ。

つまるところ、「1800人から1500人を視野におく」とする公明党提言は、創価大学法科大学院出身合格者を含む累積合格者数が1800人ないし1500人以内に収まることが条件であり、この条件を満たすためには、予備試験合格者数をそれなりに減らすことが条件となっている。

これを日弁連側から見れば、司法試験合格者数年1500人を実現するためには、与党である自民・公明に共同歩調をとらせる必要があり、そのためには、予備試験受験資格を制限する必要がある、ということになる。

法曹人口問題に関心のある弁護士のブログには、「1500人でもまだ減らしたりない」とか、「自民・公明党の提言は評価するが、予備試験受験資格の制限には賛成できない」とか言っているものもあるようだが、木を見て森を見ないというか、それぞれの論点の関連性を一顧だにしないというか、近視眼的で、書生論の域を出ていない。

いずれにせよ、1500人の実現は、予備試験受験資格の制限と、創価大学法科大学院出身受験生の頑張り次第ということになる。だが、唯一の勝ち組ルートと言って過言でない予備試験受験資格を制限することは、法曹の魅力をさらに失わせ、人材離れを加速するリスクが高い。

いいかえるなら、1500人の実現は、法曹養成制度の崩壊にとどめを刺しかねない、危険な賭だということになる。

それから、公明党提言には注目すべき点がもう一つある。それは、給費制の「き」の字すらなくなった、ということだ。

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コメント

どうせなら、失業率の計算もすべき。

投稿: はるな | 2014年4月17日 (木) 11時17分

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