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2014年9月29日 (月)

新聞記者と弁護士

新聞記者と弁護士が、閻魔様の前にやってきて、相手を嘘つきと罵りますので、双方の言い分を聞くことにしました。

まず新聞記者が話し始めました。

「閻魔様、このチラシを見てください。購読勧誘のチラシです。どれも、朝日新聞の誤報をあげつらっています。私は、朝日新聞を擁護したいのではありません。他紙の批判によってしか、購読部数を増やせないことを嘆いているのです。これはパイの食い合いです。

インターネットやスマホの普及で、新聞購読者は減る一方です。競争激化の結果、再販価格制度の崩壊や購読料の値下げが迫っています。新聞記者の給料も減っているし、夜討ち朝駆けの仕事をいやがる若者が増え、新聞記者を目指す若者の質が下がっています。その行き着く先は何だと思いますか?民主主義の崩壊です。優秀な若者が新聞記者にならなくなれば、政府の嘘を暴き、民意に訴える記事を書ける記者が減ります。そうなったら、誰が民主主義を支えるのですか。」

次に弁護士が話し始めました。

「閻魔様、このホームページを見てください。多くの法律事務所が相談料無料を謳っています。弁護士業界は今、過当競争になっています。しかも、法テラスが弁護士費用の査定を上げないので、弁護士の収入は減る一方です。若手弁護士の平均年収はどんどん下がり、月5万円の弁護士会費ですら支払えない者が現れています。その結果、法科大学院を目指す若者が激減したばかりか、大学法学部の志望者も減り、偏差値が暴落しています。つまり、弁護士を目指す若者は減り、その質もどんどん下がっているのです。その結果どうなると思いますか?私は弁護士の生活を守れといっているのではありません。弁護士の仕事は人権擁護です。弁護士の質が下がれば、人権擁護の質も下がります。しかも、困窮した弁護士は、安くてペイしない人権系の事件を手がけようにもできません。そうなったら、誰が人権を守るのですか。」

話し終わると、新聞記者と弁護士は、お互いに「この嘘つき」と怒鳴りあい、取っ組み合いの喧嘩を始めました。

閻魔様は言いました。「二人とも、本当のことを話しているのだな」

新聞記者と弁護士は喧嘩をやめ、「本当です」と声をそろえて言いました。

閻魔様は言いました。「私には、二人が同じことを言っているとしか聞こえない。それでお互いを嘘つきと罵る言葉が本当なら、二人とも嘘をついていることになる。」

閻魔様は手下の鬼を呼んで言いました。「鬼ども、この二人の舌を引っこ抜いてしまえ!」

こうして新聞記者と弁護士は、舌を抜かれてしまいました。閻魔様の国は、うるさい人が減ったので、静かになりましたとさ。

おしまい。

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2014年9月19日 (金)

スットコランド弁護士会、分離独立へ

全国52弁護士会のうち、東京三会を除く49弁護士会が日弁連からの分離独立を問う会員投票が18日行われた。事前調査によれば、40を超える弁護士会で独立が可決される見通し。分離独立した弁護士会は連合して新しい弁護士会を設立する予定だが、それまで暫定的に「スットコランド弁護士会」を名乗る。全国組織の弁護士会が分裂するのは、大正14年以来約90年ぶり。

分裂の発端は東京都霞ヶ関の日弁連会館建て替え問題。弁護士会館が竣工した平成8年の弁護士人口は約15000人だったが、その後の司法制度改革により弁護士人口は激増し、4万人近くにまで達した。日弁連、東京弁護士会、第一、第二東京弁護士会が同居する弁護士会館は手狭になり、東京三会を中心に、建て替えの計画が持ち上がっていた。

しかし東京以外の地方弁護士会は、「弁護士会館の建て替えは会費増額に直結するとして、この動きに反発。これに対し、会員数に勝る東京三会が中心となって二回にわたる日弁連総会を開き、会館建て替えを強行採決した。同時に、全会員の年会費を一律1万円値上げする決議を行ったため、地方弁護士会の怒りは頂点に達していた。

大阪弁護士の若手弁護士(40)は、「年60万円の会費ですら負担なのに、東京の弁護士が使うだけの建物のため会費増額など受け入れられない。いまどき、全国的な会議はスカイプなどを使えば可能で、大げさな建物は不要。東京の横暴は許さない」と話す。地方の若手会員を中心に日弁連の分裂を問う会員投票が企画され、18日の投票が行われた。

もっとも、弁護士法上、弁護士の全国組織は一つだけしか認められていない。投票の結果分離独立を議決した弁護士会は、連合して国に対し、二つ目の全国組織を作るための法改正を要求するとしている。

 

日弁連問題に詳しい小林正啓弁護士 「分離独立反対派の弁護士会も対抗して、新しい全国組織を作る動きがあるようです。暫定名はユナイテッド・キングジムだとか。文房具でも売るんですかね」

 

 

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2014年9月12日 (金)

司法試験合格者、新型テング熱に感染か

厚生労働省は昨日、平成26年度司法試験合格者から、テング熱ウィルスが検出された、と発表した。10年ぶりの再発となるが、厚生労働省によれば、新種ウィルスの可能性が高いという。

司法試験は、裁判官、検察官、弁護士になるため必要な資格試験であり、平成元年ころまでの合格率は2%未満だったため、最難関の国家資格といわれた。この当時のテング熱は、受験生が司法試験に合格した途端、受験予備校の職員から「先生、先生」と呼ばれることによって感染することが多く、「鼻持ちならないエリート意識」「苦労自慢」「参考にならない合格体験記執筆」などを主症状としていたが、多くは司法修習中に、自分よりはるかに優秀な同期生がたくさんいる現実に接して、治癒していた。

ところが、平成12年に行われた司法制度改革によって、司法試験合格者数は急増。需要を超える合格者増により弁護士の就職難が表面化した。最難関試験の看板を返上した司法試験に合格しても、エリート意識は芽生えないため、テング熱患者は激減し、10年前以降は、テング熱の発生は確認されていなかった。

今回確認されたテング熱は、予備試験合格者にのみ発見されることから、新種のウィルスによるものと見られている。主症状として「鼻持ちならないエリート意識」が見られる点は旧タイプと同じだが、「苦労自慢」に代わり「苦労せず合格した自慢」の症状が見られる場合が多い。また、「500番以下は人ではない」「弁護士になるのは落ちこぼれ。ただし大手渉外は除く」といった、旧タイプには見られない発言が観察されるという。

日弁連は、テング熱の再発を憂慮しており、予備試験が諸悪の根源であるとして、予備試験合格者の封じ込めを政府に要望している。これを受け、厚生労働省は予備試験合格者の出身大学を封鎖し、卒業生が予備試験を受けず法科大学院に行くよう誘導する方針を公表した。

テング熱に詳しい小林正啓弁護士;「テング熱はまれに重症化し、後遺症が残るので注意が必要です。重症化すると、『鼻持ちならないエリート意識』が『人民を救えるのは弁護士だけという確信』に発展し、『法の支配を社会のすみずみに』というウワゴトを唱えた例が報告されています。現在の日弁連執行部や、この人たちの中にも、テング熱の後遺症患者がいるようですね。」

 

このエントリはフィクションです。実在の団体や個人には一切関係ありません。

 

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2014年9月10日 (水)

平成26年度司法試験合格発表について

平成26年度の司法試験合格者が発表された。

合格者数は昨年度を239人下回る1810人。合格率は4.2ポイント減の22.6%。1500人にしてちょーだいと言い続けた日弁連としてはビミョーな数字といえよう。

当ブログでは、201266日、「今後数年間、司法試験合格者数年2000人(多少減らしたとして1750人前後)続いたとして」と書いた。また、2013729日には、「法科大学院制度司法試験合格者が1500人を超えることを前提に策定されたという)歴史的事実と、司法制度改革の間違いを認めないという政府の無謬性との整合性を保つには、ぎりぎり、1750人だ」と書いた。

合格者数が2000人を割ることに対しては、文科省が反対するだろう、と予想していたけれど、自民・公明両党が1500提言した以上、抵抗しきれなかったのだろう(しかも、合格者数・合格率の現象にも関わらず、創価大学法科大学院は健闘している)。それでも1500人まで落とさないのが、官僚らしいところだ。

いずれにせよ、予測は概ね当たったといえる。

2013719日のブログに書いたとおり、政府は、爾後5年間の猶予期間を法科大学院に与えた。したがって、2018年までは、原則として、1750人程度の合格者数が続くだろう。

この原則が崩れるとすれば、予想以上に司法試験受験者が減り、1750人の合格者数さえ維持できなくなったときだろう。いいかえれば、どれだけ騒ごうが、日弁連の力で1500人になる可能性はゼロである。

合格率の低下によって、来年の司法試験受験者は減るだろうし、法科大学院の受験者はもっと減るだろう。その結果、潰れる法科大学院がさらに増えるだろう。だが、減ったとはいえ、60校以上ある。政府が目標とする30校程度にまで減らすには、時間がかかる。これもすでに予想したところだが、5年の猶予期間は、法科大学院数を30校程度にまで減らすための期間である。いいかえるなら、法科大学院の減少は、法科大学院「制度」の終焉とは、無関係だ。むしろ、政府の意図としては、法科大学院「制度」を存続させるために、法科大学院「数」を減らしたい、と読むのが正しい。

司法試験合格者数を1500人にしてちょーだいと言っている日弁連執行部の頭もたいがいだが、1000人にしろとか、法科大学院制度を廃止しろとか言っている弁護士の頭も、お花畑(実現不可能な理想郷)という意味では、日弁連執行部と大差ない。まして、法科大学院が潰れるたびに、法科大学院制度廃止も近いと祝杯をあげる弁護士に至っては、なにをかいわんやである。

繰り返すが、下位法科大学院の統廃合は、法科大学院「制度」の存続、ひいては強化のために、行われているのだ。

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