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2014年11月25日 (火)

NICTのJR大阪駅実証実験に関する調査報告書について(3)

独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が公表した『大規模センサー実証実験調査報告書』について、執筆者の一人という立場から、考えを述べる。これは委員会の総意ではなく、個人的見解であることをあらかじめお断りする。

報告書は、撮影画像から生成した「特徴量情報」について、元画像が消去された後は、一人ひとりは識別されるが、その一人が誰であるかは分からない「識別非特定情報」である以上、「個人情報」には該当しない、と判断した。この判断は、内閣府IT総合戦略本部パーソナルデータに関する検討会の技術検討WGの理解に基づいている。

そこで、WGが「特定」と「識別」を分けて検討した内容について、もう少し見てみたい

WG主査を務める佐藤一郎教授のプレゼンによると、個人情報保護法のキーポイントの一つとして、「グレーゾーンを減らす」こと、すなわち、「従来の個人情報に加えて、個人の特定につながるパーソナルデータを整理」するため、「識別非特定情報」という概念を設けたとしている。その「グレーゾーン」に属する例としては、「パスポート番号、端末番号、位置情報、クレジット(カード)番号、メールアドレス、指紋、身長、会員番号、体重、血液型」が挙げられている(もっとも、会員番号や体重はグレーゾーンの外側にある)。ちなみに、「識別特定情報」の例としては「顔画像、氏名、住所」が挙げられている。

おそらく、法律家を含め、一般の読者は、「パスポート番号」「クレジットカード番号」や「指紋」が個人情報の範囲外に分類されていることに、驚かれるのではないだろうか。もちろん、佐藤一郎教授も、パスポート番号やクレジットカード番号や指紋の重要性を軽視するものではない。ただ、これらの情報は、一人ひとりに固有だけれども、番号だけを見たところで、それが誰かを特定することはできないから、「個人情報」には該当しない、という分類を行ったものと思われる。そのうえで、「準個人情報」という新しい概念を設け、現行個人情報の保護範囲外だが、改正後の個人情報保護法で保護すべき範囲を画そうとしたものと思われる。

だが、「特定」と「識別」という二本の補助線で、「個人情報」か否かを分類する、というアプローチは、正しかったのだろうか。

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