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2014年12月24日 (水)

「2007年問題」の予言を的中させた弁護士

第二東京弁護士会の久保利英明弁護士は、平成18年度・19年度の日弁連会長選挙に立候補し、選挙公報において、こう述べた。

2007年(平成19年)に新規法曹約2600名が誕生し、2010年より3000人体制に突入します。毎年新たに弁護士となる人数は、現在の約25倍となります。司法試験と修習制度の変更により、審議会意見書の提言より約5年前倒しの大増員です。かかる事態を弁護士会は最近まで予想もしておらず、対応策も不十分であると言わざるを得ません。『2007年問題』こそ、この2年間に日弁連が取り組むべき最大の課題です。

私は、これを職としての弁護士の危機ととらえています。舵取りを誤れば、職に就けない弁護士が多数出る恐れがあるとともに、弁護士のアイデンティティーを変質させ、基本的人権の擁護と社会正義の実現という弁護士の中核価値を押し流してしまう危険があります。」

久保利弁護士が予言した2007年(平成19年)度における新60期の一斉登録日現在の弁護士未登録者数は、弁護士schulze氏のブログによれば32名、未登録率(弁護士登録可能人数(二回試験合格者数から判事補・検察任官者数を引いたもの)を母数にした未登録者の割合。以下同じ)は3.7%だった。これが、以下のように推移する。

 

2008年(平成20年) 未登録者数89名、未登録率5.6

2009年(平成21年) 未登録者数133名、未登録率7.3

2010年(平成22年) 未登録者数214名、未登録率12.0

2011年(平成23年) 未登録者数400名、未登録率21.9

2012年(平成24年) 未登録者数546名、未登録率28.5

2013年(平成25年) 未登録者数570名、未登録率30.7

 

2014年の数字は未発表だが、未登録者数が240名~250名、未登録率は30%前後になる見通しとされている。去年に比べれば未登録者の絶対数は減ったが、この3年間、二回試験合格者の3割が就職できないか、就職に何らかの困難があったことを示しており、大勢においては高止まりで変わらないというべきだろう。「職に就けない弁護士が多数出る恐れがあるとともに、弁護士のアイデンティティーを変質させ」る恐れがあるという久保利弁護士の予言は、的中したといえる。

2006年の日弁連会長選挙で、久保利英明候補の得票数は3335票。当選した平山正剛候補の7748票、次点の高山俊吉候補の3699票に及ばず、3位に終わった。しかし、予言の的中をみるにつけ、久保利候補の落選は、日弁連にとっても不幸なことであったと思う。

久保利弁護士は、選挙公報において、「2007年問題」を乗りきるための公約の一つして「業務拡大」を掲げ、一例として「数千社をこえる企業法務部には飛躍的に多数の弁護士が必要なはず」と述べている。

また、法曹人口問題については、「一部には、新規法曹年9000人説も主張されていますが、絶対反対です。3000人体制への不安感すら払拭できない現在、議論の対象にさえなりません。」と主張している。

久保利弁護士が最近、法曹人口問題等についてどのような活動をしておられるのか、不勉強にして知らない。しかし、日弁連会長選に不幸にして落選されたからといって、変節するような弁護士ではない。

是非、選挙に臨まれたときのお立場を忘れず、日本と日本の司法のため力を尽くしていただきたいと思う。

 

 

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