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2015年3月 9日 (月)

ドローンを川の上に飛ばせたらどうだろう?

降ってわいたようなドローンブームで、この2週間、マスコミから毎日のようにコメントを求められた。だが、話題先行の誹りは免れまい。何より実際のドローンは、雨の日に飛べない。風の日も飛べないし、雪にも夏の暑さにも弱い。丈夫な体をもたないと、商業利用といっても、せいぜい、部屋の中で靴を運ぶ程度のものになるし、早晩飽きられるだろう。「ドローン」だけに、煙のように消えた、ということになりかねない。

それはさておき、法律上、ドローンは航空機ではなく、航空法上の模型飛行機に該当する。だからラジコンヘリと同様、現在は、法律のさまざまな壁のせいで、自宅の庭でなければ、河原などの許可された公共の場所でしか飛ばせない。

法律の壁はまず「高さ」。航空法上の模型飛行機にあたるドローンは、原則として地表又は水面から250メートル以上の高さの空域を飛ばすことはできない(航空法施行規則209条の41項第3号、同項1号ハ)。「海抜」ではなく「地表または水面」なので、現行法上も山頂の撮影などは可能だ。また、空路の下や、空港の近辺では、より厳しい規制がある。

次は「横」の規制。民法上、土地の所有権は「法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」(207条)と定められているから、土地所有権者の権利は理論上、地球の中心から宇宙の果てまで及ぶ。ちなみに航空法は『法令の制限』の一つだから、航空機は他人の土地の上を飛べるのだ。しかし航空法上の航空機でないドローンは、他人の土地の上を飛べない。法改正すれば飛べるけれども、他人の土地の上は高層ビルやアンテナ、送電線などがあって衝突の危険があるから現実的でない。また、道路の上を飛ぶことは、道交法上の許可が必要、というのが警察の見解になると予想される(異なる見解を述べる法律事務所のWebサイトがあるが、間違いだと思う)。

以前のエントリで、ドローンは道路の上を飛ばすのが現実的ではないか、と書いたが、衝突や墜落の危険がある以上、道交法を管掌する警察を説得するのは難儀かもしれない。

それならば、河川の上を飛ばしたらどうだろう。河川の上に、電波で空路を設定し、その空路の中でドローンを飛行させるのだ。もちろん空路は全て立体交差になっているから、離着陸時以外は停止する必要はない。河川の上に限定する以上、必然的に離着陸場(ドローンポート)は河川敷に設けられることになり、ドローンが積み卸しする荷物は、離着陸場まで自動車が運搬することになる。そのため、利用形態はB to Bになり、免許を取った宅配業者がドローンを利用することになるだろう。道路全般の上に空路を設定することに比べたら不便だが、東京・大阪をはじめ、世界中の都市には川があるから、河川の上に空路を設定する方法は、世界標準になるかもしれない。

河川の上に空路を設定することのメリットは二つある。一つはいうまでもなく、墜落時のリスクを減らせることだ。もう一つは、国土交通省主導で法整備ができる点である。もちろん、橋の上を飛行するときを想定した警察との協議や、空路設定用の電波帯域割り当てに関する総務省との協議は必要だろうが、裏を返せば、それ以外は、国土交通省の主導で進めることができる。その意味では、自律運転自動車のための法整備より楽かもしれない。

わが国が河川を物流のインフラとして利用するのは、おそらく明治以来だ。また、川の上をドローンが飛び交う光景は、社会に大きなインパクトを与える。もちろん国土交通省にも、莫大な省益をもたらす。

どうですか国土交通省さん、ドローンを川の上に飛ばすアイデア、一度お考えになってみては。

 

 

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