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2017年6月21日 (水)

次年度日弁連会長選挙に風雲

20182月に予定されいてる日弁連会長選挙へ向け、水面下で新たな動きが始まっている。

日弁連(正式名称は日本弁護士連合会)会長の任期は2年。20184月に任期が始まる新会長の候補者選びは、前年の夏から実質的に始まる。ここ数回は、いわゆる主流派と呼ばれるグループが推す候補と、左派勢力が推す候補の一騎打ちとなり、主流派がほぼ倍の得票数で当選してきた。

「台風の目」となっているのは東京弁護士会の御池ゆり子弁護士。弁護士登録15年目の若手だ。彼女が事実上の立候補宣言を行った際に掲げた公約「日弁連が貸与金を立替返済しよう!」が、主流派に衝撃を与えている。

司法試験に合格し、裁判官・検察官・弁護士を目指す司法修習生には、修習期間中は公務員とみなされ、給費が支給されてきた。しかし、司法制度改革により合格者が大幅に増やされることになったため、2011年から給費制が廃止され、希望者に国が生活費を貸し付ける貸与制度が導入された。しかし、司法試験合格者の急激な増加は弁護士過剰をもたらし、就職難の結果、法曹志望者は激減。苦肉の策として、2017年度の司法試験合格者から、給費制が事実上復活することとなった。しかし、2016年までに合格した修習生の貸与金返済義務は免除されず、「谷間の世代」と呼ばれることになった。

貸与金は、修習終了後6年目から5年間に分割して返済することができ、利息は付されない。「谷間の世代」の筆頭となる2011年合格組の返済は、20187月に開始される。御池ゆり子弁護士は、給費制復活運動にかかわってきた中で、「日弁連が谷間の世代を見捨てることは許されない」と考え、「主流派が見捨てるなら」と、日弁連会長への立候補を決断したという。

「谷間の世代」は、当然大歓迎だ。日弁連によれば、「谷間の世代」11000人のうち、貸与金の返済義務を負うのは約8000人。全弁護士数(42000人)の5分の1足らずとなる。一見少数派に見えるが、日弁連会長選挙の投票率は近年5割前後であり、前回の投票者総数は17645人。「貸与金返還義務のない弁護士の同情票もある。『谷間の世代』11000人と同情票が結びつけば、会長選挙の主導権は完全に奪われる。」と、取材に答えた日弁連主流派幹部は匿名を条件に、危機感をあらわにした。

対する日弁連主流派としては、給費制の復活と貸与金の返済免除を訴えてきた立場上、貸与金の立替払いを頭から否定することはできない。しかし、「谷間の世代」が負担する貸与金返還債務の総額は150億円以上とも言われ、日弁連の予算規模で全額立て替えることは「およそ不可能だし、もし立て替えるなら会費の大幅な増額は必至だが、会員一人あたり40万円の会費負担増は論外。かといって、(貸与金の立替返済を)頭から否定すれば、『谷間の世代』との間に、修復不可能な亀裂を生むだろう」(日弁連主流派幹部)。そのため、日弁連主流派としては、「まずは返済免除を目標に、政府と真摯に交渉する。日弁連が立替払いに踏み切るか否かは、政府との交渉次第」と及び腰だ。

一方御池ゆり子弁護士の鼻息は荒い。「(5年の分割返済なので)20187月からの1年間の返済額は総額でも5億円。これなら日弁連が負担することは可能。日弁連は、まず身を切る覚悟を示してから、国との交渉に臨むべき。もし150億円を日弁連が負担することになったとしても、(6世代が5年目から順に弁済していくので)一年あたりにすれば、日弁連に出せない金額ではない。会費の値上げは絶対しない」と主張する。

日弁連に詳しい小林正啓弁護士のコメント「今後の見所は、『あの人』が御池弁護士を応援するか否かでしょうね。応援すれば、日弁連主流派にとっては、悪夢の再来となるでしょうが、毀誉褒貶のある人なので、裏目に出る可能性も大。『あの人』は誰かって?それはもちろん(爆発音。以下聴取不能)」

注:このエントリはフィクションです。

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コメント

貸与を受けていない(貯金切り崩し)貸与制世代からすると、返済免除オンリーは勘弁してほしいですね

投稿: | 2017年6月25日 (日) 23時54分

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