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2017年8月23日 (水)

カメラ付きマネキンと個人情報保護法について(2)

前回のエントリでは、喉仏のあたりにカメラを仕込んで来客の属性を記録するマネキンに法的な問題がないか、検討した。結論としては、画像を直ちに消去する(あるいは、保存しない)のであれば、問題ないと考える。

では逆に、画像を消去せず、記録するマネキンを店内に置くことは、違法だろうか。とりあえず、万引防止用の防犯カメラとして利用しており、かつ、「ここに防犯カメラがあります」等の表示がない場合を前提に考えてみる。

個人情報保護委員会のQ&Aを見ると、「防犯カメラにより、防犯目的のみのために撮影する場合、『取得の状況からみて利用 目的が明らか』(法第 18条第4項第4号)であることから、利用目的の通知・公表は不 要」とされている。しかし、この解釈は、防犯カメラとしての使用が外観上明白である場合を前提にしているから、マネキンに仕込まれたカメラには該当しない。

それならば、警備員の格好をさせたマネキンであれば、喉仏にカメラを仕込んで防犯カメラとして利用することは許されるだろうか。迷うところであるが、警備員の格好をさせたマネキンと言うだけでは、「撮影している」という「通知・公表」としては不足しているように思われる。

では、警備員の格好をさせたマネキンが頭を常時左右に動かしたり、客のいる方に顔を向けたりするようにさせたらどうだろうか(もはやマネキンではなくロボットではないか、という議論は措く)。この場合は、「撮影している」という「通知・公表」があるものとみなしてもよいように思われる。

ただし、このように考えてくると、「警備員の格好をさせる必要はないのではないか」という指摘が出てこよう。店内であれば、警備員だけでなく、一般の店員も万引の警戒をするものである。したがって、「客の動静に呼応して顔を向けるなど、『撮影している』ことを動作で示すマネキンであれば、特段の通知・公表なく防犯カメラとして使用可能」という結論が導かれることになる。

買物中、ふと視線を感じたらマネキンがこっちを見ていた、という百貨店は、あまりぞっとしないが、いずれ慣れるのだろう。

それでは、カメラを積んだマネキンが、「撮影している」ことを動作で示すなら、特段通知・公表をしなくても、マーケティング等防犯以外の用途で利用することは可能だろうか。少なくとも現時点における個人情報保護法の解釈では、無理と思われる。

しかし、PEPPERは、既に顔認証システムが搭載可能になっている。報道では、客の同意がなければ客の顔を覚えない運用を前提にしているようだが、技術的には、同意は不要だ。今後、ロボットが普及すれば、当然に顔認識装置を備えているものとして、社会に受け容れられていくと予想される。一台一台のロボットが、個人情報保護法に基づく撮影目的の通知・公表を行うというのは、実際的ではない。そうだとすれば、変わるべきなのは、個人情報保護法(又はその運用)ということになる。

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