2012年2月24日 (金)

弁護士会広報と裸の王様

日弁連の機関誌『自由と正義』20122月号は、「弁護士会広報を考える」という特集記事を組んだ。いま、弁護士会広報のありかたは、日弁連はもちろん、各地の弁護士会にとって、重要な政策課題になっている。だが、一般市民には、弁護士会が何を広報したがっているのか見えないし、弁護士会自身、どうすればいいのか分かっていないのが現状だ。

20118月、日弁連法務研究財団は、「日本の弁護士のイメージ」に関するインターネット調査の結果を発表した(JKL叢書18号 商事法務)。これによれば、国民の持つ弁護士のイメージは、「庶民の味方でも敵でもなく、弱者の味方でも敵でもなく、正義の味方でも敵でもなく、尊敬できるともできないともいえず、どちらかといえば頼りになり、国際的に活躍しているともいえないともいえず、あこがれを感じるとも感じないともいえず、親切だとも親切でないともいえない」。また、「どちらかといえば大企業の味方で、どちらかと言えば金持ちの味方で、悪者の味方とも敵ともいえず、国・行政の敵とも味方ともいえず、どちらかといえばずるがしこく、どちらかといえば偉そうにしている」との集計結果が出た。これについて、上記レポートは、「弁護士の自己認識と大きく乖離しているイメージであるとの意見が出た」としている。

『自由と正義』の上記特集を企画した、日弁連広報室長の生田康介弁護士は、この調査結果を「少なからずショッキングな結果」であるとして、日弁連広報の目的を「人権擁護」「弱者救済」「反権力」「在野」などの弁護士のイメージを市民に理解してもらうことと位置づけている。

どう思われるだろうか?私は、とんだお笑いぐさだと思う。一般国民から見れば、弁護士が「ショッキングと思う」ことがショッキングではないだろうか。

「どちらかといえば大企業・金持ちの味方で、庶民・弱者・正義の味方とはいいきれない」という一般国民のイメージは、かなり正確に弁護士の実態を把握していると思う。庶民や弱者の訴訟代理人弁護士が50人いれば、対する大企業や金持ちの代理人弁護士も50人、というより、大事務所が付くため100人くらいになるのだから。一方、「人権擁護・弱者救済・反権力・在野」という「自己認識」は、一部の弁護士の実態にすぎず、そうでなければ、一部の弁護士がもつ「理想の弁護士像」にすぎない。つまり、いずれにせよ、弁護士一般のイメージとしては、虚像でしかない。だとすれば、生田広報室長が語る弁護士会広報の位置づけは、正確に事実を把握している国民に対して、虚像を理解してもらおうとする試みとなる。たとえるなら、子どもに向かって、「朕は素晴らしい着物を着ているのだぞ」と説得し、「どうしたらこの素晴らしい着物が見えるようになるのだろう?」と悩むようなものだ。

滑稽なだけの広報なら、やめた方がよいぞ。

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2011年10月31日 (月)

女性のための残業代セミナー by 大阪弁護士会

労働審判制度を利用した残業代の請求事件数が、急激な伸びを示している。

だが、現行法上、残業代の請求には、重大な問題がある。

それは、時効が2年、という点だ(労働基準法115)。

流動化が進んだとはいえ、日本の雇用制度は終身雇用が基本である。定年前の二年間に、残業代が発生するサラリーマンは、少ない。また、日本人は精神構造上、会社にいながらにして、その会社を訴えることができない。その結果、ものすごい金額の残業代請求権が、行使されずに時効消滅している。

しかし、女性に注目してみると、ちゃんと残業代を請求できる人が多いことに気づく。なぜなら、女性には未だに、結婚や出産で中途退職する(やめさせられる?)人が多いからだ。また、キャリアアップのために、転職する女性も多い。会社を辞める前の2年間に、相当な額の残業代請求権が発生している女性は、たくさんいるはずだ。

仮に、一日平均2000円の残業代が発生するとするなら、2年間で約100万円になる。弁護士費用を2割払ったとしても、80万円残る。新たな生活や出産、資格取得にかける費用として、決して少なくない。弁護士に相談してみる価値はあると思う。無料なら、なおさらだ。

大阪弁護士会広報室では1210日(土)、「女性のための労働セミナー」を開催し、こうした女性のための無料セミナーと、無料法律相談会を行う。もちろん男性も参加できる。

退職したばかりの女性、退職を考えている女性の皆さん、一度話を聞いてみませんか。

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2011年7月25日 (月)

仙台七夕が大阪弁護士会にやってきた!

 大阪弁護士会広報室からの宣伝です。

 大阪弁護士会では、本日から、大阪弁護士会館1階に、仙台七夕を飾り付け、「仙台七夕in大阪~復興の願いよ届け!弁護士会に仙台七夕祭りがやってきた~」と題して、ミニコンサートや全国各地からのお土産のチャリティ販売会を行います。

 趣旨としては、関西に避難している東北の被災者に、ふるさとへの思いを馳せていただくことにありますが、同時に、今ひとつ知名度のない大阪弁護士会館を大阪市民に広報することもあります。

 23日に七夕飾り16本の飾り付け工事を行いました。写真は工事の様子です。16本の七夕飾りが天井高10メートルの弁護士会館ロビーに浮遊する有様は、かなり壮観です。

 もちろん入場無料。是非見に来てください!

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2011年1月31日 (月)

人生の大問題を 一人で決めて大丈夫?

 大阪家庭裁判所は、大阪城の西隣、ビジネス街のど真ん中にあるから、「お客さん」は、自動車でなければ、地下鉄の最寄り駅から歩くしかない。だから、駅の裁判所側出口にある広告板をトイ面で借りれば、行き帰りに必ず広告を目にする。それなら、家裁事件の当事者に的を絞った広告をしたらどうだろう。こんな思いつきから、126日、写真のような広告がはじまった。

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 家庭裁判所は、地方裁判所に比べて、弁護士をつけない事件の割合が高い。そのため、裁判所に強引に説得され、不利な和解を呑まされる人が少なくない。後悔して弁護士に泣きついても後の祭り。そのような人は、家裁事件の中でも、離婚事件の当事者に多い。これは弁護士の実感である。そこで、離婚事件の当事者に絞って、弁護士をアピールする広告を出すことにした。コピーライターはさわらぎひろこさん。弁護士会からの依頼など初体験だと思うが、速攻で素晴らしいキャッチコピーをたくさん提案してくれた。

 この種の広告は、大阪弁護士会として初めてのことなので、実施まで数ヶ月かかってしまった。しかも、本当はもっと過激なコピーを使いたかったのだが、広告板の管理局に拒否されて断念した。

結果として、企画段階よりは大人しい広告になってしまったが、大阪弁護士会広報室の業務拡大への取り組みは、始まったばかりである。

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