2009年5月14日 (木)

ICRA2009 KOBE

 ICRA2009という、ロボットテクノロジーに関する国際会議が神戸で開催され、そのワークショップに参加する機会があり、30分ほどのスピーチの後、諸外国からの参加者との議論に混ぜてもらえた。

 筆者は人前で英語のスピーチをするなどというのは中学校以来であり、まして外国人の前では生まれて初めてのことで、大いに緊張した。

内外の最先端の研究成果を聞くことができたのは収穫であったが(何しろ英語での発表なので半分程度しか理解できないが)、最も印象的だったのは、石黒浩教授による生体模倣型ロボットの研究発表だった。発表によると、極めて複雑な機構を備える次世代ロボットは、一個一個の部品をプログラムで制御してはじめから完璧に動作させることが不可能なので、ロボット自身に試行錯誤させながら、最適な動きを学習させるという。要するに人間の赤ちゃんと同様、転びながらはいはいを覚え、歩き方を覚えていくのと同じアプローチなのだが、実際に赤ん坊の形をしたロボットが、手足をばたつかせながら寝返りを打とうとする有様は、不気味でさえあった。

はるばるスペインから弁護士が参加し、ロボットを巡る安全の問題や、プライバシーの問題について、研究者との議論を行った。技術者の問題意識も世界共通なら、法的問題に対する弁護士のアプローチも共通しているのは大変興味深かった。(小林)

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2007年3月24日 (土)

賃貸集合住宅において家主が防犯カメラを設置する場合の法的問題点

 前回集合住宅に防犯カメラを設置する場合の法的問題点を検討したが,集合住宅は分譲マンションばかりではなく,賃貸マンションやアパートもある。また,分譲マンションでも,区分所有者が居住せず,賃貸する場合もある。このような場合,家主である所有者が集合住宅に防犯カメラを設置し運用することについては,どのような法的問題点があるだろうか。

手がかりとして,一戸建ての賃貸住宅をまず考えてみよう。一戸建ての賃貸住宅の玄関先に,賃借人の承諾がないのに,家主が勝手に防犯カメラを設置することは,いかにも許されないように思われる。

 これに対して,賃貸集合住宅において,オーナーが勝手にエントランスに防犯カメラを設置することは許されるような気がする。そうだとすれば,この違いはどこから来るのだろうか?また,オーナーが勝手にやって良い限界点はあるのだろうか?

 集合住宅には,玄関やエレベーター,階段,共用廊下,ゴミ集積場や自転車置き場といった共同利用部分と,各住戸やそのベランダといった専用使用部分とがある。専用使用部分については,その住戸の住人のプライベートな空間であるから,家主といえども,勝手に防犯カメラを設置することはできない。そもそも,家主が勝手に店子の家に侵入することは,住居侵入罪となる。

 これに対して,共同利用部分については,各住戸のプライベートな空間ということはできないから,家主は施設管理権に基づいて,防犯カメラを設置できるということになる。但し,最も頻繁に撮影される住人側としては,家主に対して,撮影内容や録画保存に関する情報の開示を要求できるというべきだろう。

 微妙な問題としては,「共同利用部分」と「専用使用部分」の境界線はどこか?という点である。各住戸のプライベートな空間は,必ずしも,その住戸の玄関で明確に区切られるものではないからである。最近は集合住宅の構造も複雑になり,ある部分から先は一つの住戸の住人しか利用しないような共用廊下もある。このような場合には,共同使用部分といえども,その住戸の住人の了解無く防犯カメラを設置することはできないと考えるべきであろう。(小林)

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2007年3月20日 (火)

マンションなど集合住宅に防犯カメラを設置する場合の法的問題点

マンションなど集合住宅は,私邸が物理的に集合しているものであるから,基本的には,私邸に準じる強度の施設管理権が存在する。よって,外部の一般人との関係では,「監視カメラ設置中」などの告知文の掲示は不要であり,目的の正当性や撮影手段の正当性も緩やかに解されて良い。

しかし他方,集合住宅に特有の問題もある。居住者が部外者を監視するほか,居住者が居住者を監視するという側面があるからだ。

すなわち,集合住宅において防犯カメラが設置される例として,純粋な防犯目的ばかりでない場合が増えてきている。具体的には,ゴミ出しルールの違反やタバコのポイ捨て,ペットの飼育や粗相の不始末など,端的に違法とはいえないが住民の管理規約違反もしくはマナー違反を防止する目的で,防犯カメラが設置される場合が少なくないのである。

ところで,集合住宅には,区分所有者全員が共有している「共用部分」と,区分所有者本人だけに所有権がある「専有部分」とが存在する。専有部分には,所有者の意思に反して防犯カメラを設置したり,専有部分が画角に入る場所に防犯カメラを設置したりできない。共用部分であっても,専用使用権のある共用部分,例えばバルコニーやベランダについては専有部分と同様である。これら共用部分に専用使用権のある住人が防犯カメラを設置することも,「共用部分の変更」(区分所有法17条)にあたるから,管理組合の承諾なくしてはできない。以上の部分を除いた共用部分,具体的にはエレベーターや外廊下,エントランス,駐車場や自転車置き場,ゴミ集積場などが問題となる。

手続面については,共用部分に防犯カメラを設置することは,区分所有法17条1項の「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの)」にあたるから,管理規約に別段の定めがない限り,区分所有者および議決権の各過半数で議決することができる(区分所有法38条1項)。

しかし,これはあくまで手続規定であるから,議決の内容ないし運用において居住者のプライバシー権を不当に侵害することは許されない。

例えば,特定の住人や特定住戸への訪問者を監視する目的で防犯カメラを設置することは,よほどの事情がない限り,違法である。また,録画の有無,閲覧権者と閲覧手続,保存期間や第三者提供についての運用規則を定め,居住者の閲覧に供することが必要である。

「共同住宅の防犯上の留意事項」及び「防犯に配慮した共同住宅の設計指針」の策定(警察庁と連携した防犯に配慮した共同住宅の普及施策)についてはこちらhttp://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/press/h12/130323-1.htm

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