消費税の使いみち解散について
「これで、今日の社会の授業を終わります。何か質問は?」
「はい!」
「どうぞ」
「今日の授業で、国会は国権の最高機関で、唯一の立法機関だと習いました」
「そうですよ」
「国会には立法権と予算をきめる、ただ一つの組織ですよね」
「そうだね」
「税金の使いみちを決めるのも、国会ですよね」
「そうだよ」
「使いみちを決めずに、税金を上げることはできますか」
「できるよ。でも、決めておかないと、なぜ税金を上げる必要があるのか、分からないよね」
「税金の使いみちは、あらかじめ決めておいた方がよいということですか」
「そうだね」
「では、税金を上げると決めたあとで、使いみちをかえてもいいのですか?」
「よくないだろうね」
「では、安倍首相が税金の使いみちをかえると言っているのは、よくないことですか?」
「いちど決めた使いみちをかえるためには、国民の了解がいるということじゃないかな」
「税金の使いみちを決めるのは国会なのに、なぜ国民の了解がいるのですか」
「そそれは、日本が民主主義国だからだよ。君は知らないかもしれないが、ひとつ前の総選挙も、消費税を2%上げるかどうかが争点だったんだ」
「税金の使いみちを決めるのは国会の権限だけど、日本は民主主義国だから、税金の使いみちをかえるかどうかについては、国民に直接決めてもらった方がよい、ということですか」
「そうだね」
「国民に直接決めてもらった方がよいなら、国会はなくてもよいのですか?」
「そんなことはないよ。ほかにも大事なことを国会は決めないといけないからね」
「大事なことって、たとえば何ですか?」
「そうだな、ニュースに載ったものでいうと、一昨年に成立した平和安全法は、大事な法律だと思うよ」
「大事な法律なら、なぜ直接国民の意見を聞かないのですか?」
「そそそれは、いちいち国民の意見を聞いていたら手間がかかって大変だからだよ。国民に代わって大事なことを決めてもらうために選挙して国会議員を選んでいるのだから」
「そうするとつまり、法律を作ったり予算を決めたり、税金の使いみちを決めたりするのは国会だけど、その中で特に大事なものは、国民の意見を聞いて決めるのがよい、ということでしょうか」
「そうなるね」
「では、特に大事なものは何か、はどうやって決めるのですか。ぼくは、消費税の使いみちより、平和安全法の方が大事なように思います」
「何が大事なのか、を決めるのは難しい問題だね。でも、衆議院を解散できるということは、民意を問えるということだから、衆議院を解散できる内閣総理大臣が、何を国民に問うかを決めることができる、ということになりそうだね」
「そうするとつまり、国会が何を決めるのかを決めるのは、内閣総理大臣になりますね」
「そうみたいだね」
「だとすると、内閣総理大臣は国会より偉いのですね」
「偉いのかなあ」
「でも、今日の授業では『国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関』であると習いました」
「次の質問がある人!」
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